筋交いの方向を決める
想定はしていました。
お家傾いています。
柱の上下で約2.5センチの差があります。
これは…結構な数字じゃないでしょうか。
東側へ、そして南側へも傾いています。
南側の方向へは、地盤も沈んでいる様子です。
このお家は元々筋交いが少ないので、補強のためにいくつか入れなければなりません。
通常であれば、逆の方向に筋交いを入れるでしょう。
しかし、土台を交換した際に右側にある柱のホゾを切り落としたので、所謂イモ仕事の柱の根元に向かって筋交いを入れる訳にはいきませんでした。
家が向かって左側に傾いているのも考慮して、この方向に筋交いを入れました。
次に、こちらの面にも筋交いを入れます。
元々ここには筋交いは入っていたのですが、白蟻の被害が酷かったので撤去し、新しく入れ直します。
尚、こちらの土台も結構シロアリに食べられています。
三分の二は生きていることと、通し柱が乗っていることもあり交換はしませんでしたが、被害が大きい場所に筋交いの根元を持ってくることは避けたいので、こちらも元々の方向とは逆に筋交いを入れます。
あれ????
短い…
めっちゃ短い。
何が起きたんだろう?
ちゃんと測ったはずなのに。
測り間違いの瞬間は、どれだけ経験を積んでも突然やってきます。
もったいないので、これは【根太受け】の材料として使うことにします。
筋交いの墨の付け方
先ほど筋交いを入れるスペースの縦と横(土台と柱の長さ)の寸法を測りました。
その寸法の十分の一の数字の場所を指金であて、墨を付けます。
今回は縦が257㎜、横が170㎜です。
次に、先ほど引いた墨と筋交いの中心となる箇所が交差する点を印します。
その点から直角に線を引きます。
これで筋交いの片方の墨を付けることが出来ました。
次に、付けた印の距離を測ります。
この長さに10をかけると筋交いの長さを出すことが出来ます。
しかし、ここでは正確な長さを出すのではなく、少し長めに切るために印をする程度にしておきます。
筋交いの片方のみ正確に墨を出してカット。反対側は少し長めに切っておき、実際の場所に仮あてしてからジャストな長さを出します。
片側を加工しました。
仮あてしてみました。今度は長さ十分です。(ホッ)
この状態で正確な長さを光りつけて加工します。
筋交いの方向を変えるので、間柱を新たに欠き込まなければなりません。
充電式丸ノコで斜めにカットして間柱を切り欠きます。
125㎜マキタ充電式丸ノコは小型でほんとに使いやすい!
この様な仕事は安全カバーをクサビなどで固定してカットしたほうが切りやすいのですが
本来の使い方ではないのでYOUTUBEでお見せすることが出来なく
マルチツールやレシプロソーなどを使って欠き込みます。
解体が付き物のリフォーム工事では、これらの電動工具は欠かせません。
このマルチツールはめちゃくちゃ便利です!
これは旧型でもう何年も愛用していますが
実は最近新型を買いましたがこれがすごいいい。YOUTUBEレビュー動画制作中です
筋交いを入れていきます。
筋交いは緩すぎてもダメですが、きつすぎてもよくありません。
そこだけ突っ張りすぎると他のバランスが崩れてしまうからです。
かけやや玄翁で叩いて、無理なく入っていく感じがよいです。
筋交いが無事に入りました。
本当はダブルで筋交いを入れたいところですが
補強はすればするほど金物をたくさん使うし、基礎やアンカーの補強も必要になります。
大引きを加工する
次に、大引きを加工していきます。
今回、白蟻被害がある大引きが何本かあったことや、本来あるべき箇所に基礎が無かったりしたこともあり、大引きの方向を東西から南北へ変更して組み直すことにしました。
大引きを土台に掛ける加工をしていきます。
既存の大引きをそのまま利用する箇所もあるのですが、大きくむくり上がっていたため電動鉋で削って調整します。
レーザーを見ながら慎重に高さを合わせていきます。
筋交い金物を取付ける
筋交い金物とは、筋交いと柱・横架材を接合する金物の事です。
筋交い→ 建物の耐震性を高める。
筋交い金物→ 筋交いが外れてしまうのを防ぐ。
簡単に言うとこんな意味合いでしょうか。
今回のお家は古いので、既存の筋交いにも金物は付いていません。
新しく入れた筋交いと合わせて、金物を取付けていきます。
こちらは、柱・筋交い・土台の3面を繋ぐ正面から打つタイプのプレート型金物を取付けたかったのですが、柱に欠損があり使えませんでした。
よって柱と筋交の2面を固定する2面施工型金物を使うことにしましたが、これも本来なら外壁側からビスを打たないと固定できません。
取り付け方を考えています。
少し変則的ですが、うまく取り付けられました。
リフォームではイレギュラーな場面も多いので、その都度臨機応変に対応して工事を進めていきます。
こちらは柱・筋交い・横架材の3面をしっかり固定するボックス型です。
筋交い金物の中では一番歴史が古い金物になります。
筋交い金物には種類があり、それぞれを適切な場所に、適切な方法で取り付けていくことが重要です。
ご覧の通り、金物のビスはとても太く、本数も決まっていてたくさん打たなければなりません。
新築なら良いのですが、リフォームで既存の木材が古くなっている場合は、割れてしまうのではないかと心配になることもあります…。
そんなこんなで、今回は「筋交いの取り付けと金物の取り付け」「大引きの加工」を見ていただきました。
次回はどんな作業が待っているでしょうか。
是非楽しみにしていてください!