今回は「左勝手丸ノコ」についてお話しします。右勝手の丸ノコが主流である中、なぜ左勝手丸ノコが存在するのでしょうか?
これは、外壁サイディングの専門業者の声を反映してメーカーが開発したと言われています。左勝手丸ノコは厚みのないボードを切るのに適した工具であり、左利き用ではありません。

刃先や墨線が見やすい設計が特徴で、定規を使った直線切りの際に覗き込む手間が省けるのが最大の利点です。
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今回購入した無線連動タイプの集塵丸ノコ
今回購入したのは無線連動タイプの集塵丸ノコです。このタイプは集塵機と無線で連動する仕組みですが、使用するには無線対応の集塵機が必要です。そのため、この工具を導入する際には以下の追加費用が発生します。
- 無線対応の集塵機
- ワイヤレスユニット(別売りで約1万円)
これにより、初期投資が高額になる点がデメリットです。
無線連動のメリットとデメリット
無線連動は作業効率を上げることを目的としていますが、以下の問題点があります。
バッテリーのコスト
高容量バッテリーを複数用意する必要があり、これも大きな出費につながります。例えば、40Vのバッテリーを5個ほど用意すれば、ストレスなく使えるようになりますが、これだけで数万円のコストがかかります。
ワイヤレスユニットが不便!
ワイヤレスユニットを工具ごとに付け替える必要があり、これが非常に面倒です。また、複数の無線対応工具を使用する場合、それぞれにユニットを購入する必要があります。
マキタ(Makita) ワイヤレスユニットWUT01 A-66151
無線連動専用の充電式集塵機の欠点
無線連動専用の集塵機はAC電源の連動機能がなく、無線対応工具以外では使えません。さらに、バッテリーの持ちが悪く、頻繁な充電が必要になるため作業効率が低下します。

マキタ製品を好む職人さんは多いですが、無線連動機を購入するとさらに「マキタ沼」にハマる可能性があるため注意が必要です!
こちら下の写真は無線連動専用の充電式集塵機です。
AC電源連動用の差込口が付いていないため、無線対応の工具でしか使用できません。
そのため、AC電源の工具を使用する際には、集塵機を連動させることができず、毎回手動でスイッチを操作する必要があります。この点が非常に不便で、正直に言って、使用感の悪い集塵機と言わざるを得ません。さらに、バッテリーの持ちも悪いため、あまりおすすめできない商品です。
もし集塵機をお探しなら、AC電源対応で無線連動機能も備えたモデルを選ぶことを強くお勧めします。このタイプなら、AC電源の工具でも連動が可能で、充電式丸ノコなどの無線対応工具ともスムーズに連動して使用できます。

写真で指を押さえている部分が、無線機に接続するためのボタンです。このボタンは非常に小さく、指が少し太い方だと押しにくい設計になっています。おそらく誤作動を防ぐ目的で小さくされているのだと思いますが、ここまで小さいと操作が煩わしく、正直ストレスを感じます。改良を強く望みたい点の一つです。私はカッターの先端を使ってこのボタンを押していますが、これが毎回面倒です。
さらに、丸ノコ側にも同様のボタンが付いており、無線接続を確立するためには一定時間内に両方のボタンを押す必要があります。この仕様も非常に使い勝手が悪く、操作に余計な手間がかかります。
また、充電式集塵機のバッテリーについてですが、大容量タイプのバッテリーを2本(2万円以上するもの)装着しないと、あっという間に電池切れを起こしてしまいます。この点もコスト面や効率性を考えると非常に厳しく、改良の余地が大きいと感じます。
左側に写っているのはACタイプの左勝手丸ノコで、右側が今回購入した充電式左勝手丸ノコです。見ての通り、左側のACタイプの方が全体的にスッキリしており、軽量です。見た目もコンパクトで、実際に使用してみると非常に扱いやすい印象を受けます。

一方で、充電式丸ノコは左勝手の設計である時点でバランスが悪く、さらにサイズが大きいため、さらに使いづらさを感じます。重量やバランスの面で不利なだけでなく、長時間の使用には向いていないと感じました。この点も、今後の改良を期待したいところです。
横から見ると、充電式の丸ノコはバッテリーが搭載されているため、機械全体のバランスを工夫する必要があります。その結果、縦方向に長く設計されています。この縦長の形状は、使用時にさらにバランスが悪く感じられる原因になっています。

充電式の左勝手丸ノコは、刃の深さ調整用レバーが側面に配置されています。これは改良点の一つではありますが、実際に合板や木材にあてて刃の深さを調整しようとすると、レバーに指が届かず、調整が非常に困難です。そのため、裏側にある深さ専用のガイドを確認しながら調整する必要があります。
多くの大工さんは指金を当てて深さを確認しながら調整することが一般的ですが、このレバーではそれがしにくく、作業効率が落ちてしまいます。この設計のため、精密な刃の深さ調整は事実上不可能で、調整も「おおよそ12ミリ程度」といった大まかなものになってしまいます。
そのため、この丸ノコは精密加工には向いていません。もともと、この製品は精密な加工を求める作業ではなく、サイディングなど「2~3ミリ程度の隙間が許容される」作業向けに設計されたものだと言えます。精密な加工を必要とする方にはおすすめできない丸ノコです。

こちらの写真は、AC機と充電式の丸ノコの重心とバランスの違いを示したものです。
AC機は、持ち手と刃の中心がずれている構造になっています。一方、充電式はバランスを取るために、持ち手と刃の中心が一直線に配置されています。この設計は安定性を意識したものですが、その結果として、切り終わりの操作がしにくいと感じる場合があります。特に、合板を切り終える際、私のように腕が少し短い人は、切りにくさを感じることがあるでしょう。


この写真で切っているのは厚さ12ミリの合板ですが、24ミリや30ミリといった厚みのある板を切る際は、刃の深さを調整することで持ち手が手前に倒れるため、その場合は操作性が向上し、使いやすくなる可能性があります。とはいえ、12.5ミリ程度の薄めのボードを切る際には、バランスが良いとは言えません。この点は用途や材料の厚さに応じて使い分ける必要があると感じます。

こちらの写真は、充電式集塵機と充電式逆勝手丸ノコをセットした状態です。見た目は非常にスタイリッシュで、最新の工具を使っている感覚が強く、テンションが上がります。
実際に現場で使用し、施工ボードを50枚ほど切ってみたところ、一度セットしてしまえば非常に快適に作業が進められました。ボードのカットでは特に精密さを求めないため、左勝手の丸ノコは墨が見やすく、コードが無いことも大きな利点です。また、集塵機ごと作業台の反対側に簡単に移動できるので、作業効率が大幅に向上しました。さらに、狭い現場では充電式ならではの携帯性が非常に便利で、掃除をする際も手軽に移動できる点が大きなメリットです。
ただし、充電式ゆえにバッテリーの容量が気がかりです。このセットでボードを切る場合、最低でも40Vのバッテリーが必要で、できれば5個用意しておくと充電しながら効率よく回せるため、ストレスなく作業が続けられます。この点は少し手間がかかりますが、それを差し引いても、狭い現場での使い勝手の良さを実感できるセットだと言えます。

実際に現場で使用してみると、ちょっとした作業や少量のカットを行う際に、わざわざ集塵機を接続しないという方も多いのではないでしょうか。しかし、この充電式集塵機と充電式丸ノコの組み合わせであれば、場所を選ばずに簡単に接続して使用することができるため、とても便利です。
その結果、現場を汚すことが少なくなり、清掃の手間を減らすことができます。また、粉塵を吸い込むリスクも大幅に軽減できるため、体への負担が少なくなる点も大きなメリットです。そういった意味では、このセットは非常に有用で、持っていて良かったと感じる場面が多々あります。健康面と作業環境の改善という視点からも、充電式の利便性は非常に価値があると言えます。

今回は左勝手の充電式丸ノコについてのレビューですが、最大の欠点として挙げられるのは、切断深さが40ミリに限られていることです。右勝手の充電式丸ノコは45ミリを余裕で切断できますが、なぜか左勝手モデルはそれが実現できていません。この制限のため、木材を切断する用途では使えず、解体現場で床や壁を切る際にも深さが足りず、正直実用性が低いです。

右勝手丸ノコ こちらはかなりオススメです
(LEDライトは最悪ですが)
マキタ(Makita) 125mm充電式防じんマルノコ 40Vmax
今回の左勝手丸ノコには、右勝手充電式丸ノコと同様に墨線を照らすLEDライト機能が搭載されています。しかし、このライトは墨線を十分に照らせておらず、実際の作業ではあまり役立ちません。この点については、なぜこの状態で製品化されたのか疑問を感じます。もう少し実用性を考慮して改良されることを期待したいです。
右勝手の充電式丸ノコは全体的によく作られており、非常に優秀な製品です。そのため、今回紹介した左勝手丸ノコを無理に購入する必要はないと感じます。右勝手丸ノコを1台用意し、ボードなどを切るときは刃を交換することで対応したほうが、経済的で利便性も高いでしょう。深切りが可能であれば評価は変わったかもしれませんが、現状ではおすすめできません。
さらに、左勝手丸ノコは墨線が見やすいというメリットがありますが、刃が体側に配置されているため、キックバック時の怪我のリスクが高くなります。特に直角定規などを使用する際には、指が刃の近くになるため、十分な注意が必要です。この点を理解したうえで、安全に使用することが求められます。
今回のレビューは基本的に辛口評価となりましたが、重量バランスについてはかなり考慮されており、遠くを切る際には少し使いにくさを感じるものの、それ以外の場面では比較的使いやすいと感じました。ただし、全体的な使い勝手ではAC機の方が圧倒的に優れています。
この機械は、特に優先して購入すべきものではありませんが、お金に余裕がある方やサイディングやボードを大量に切る機会が多い方にはおすすめできます。
実際に現場で使用した感想としては、YOUTUBE動画の内容と少し異なる部分もありますが、もし興味がありましたら、ぜひYOUTUBEもご視聴いただければと思います。
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